恋と青春と

劇場映画初主演となる『おいしくて泣くとき』。せつないラブストーリーを紡いでいくこの作品について、長尾くんらしく魅力を語ります。

中学時代の僕は、バカばっかりしてました

映画『おいしくて泣くとき』で僕が演じてるのは、15才の高校生・心也。演じれば演じるほど、当時こういうことを思ってたなと懐かしい記憶を思い出しました。

役作りじゃないけど、小中が一緒だった友だちに電話して「こんなことやったよな」と話したりとか。中学時代の僕は、バカばっかりしてましたね。

自転車通学が禁止だったんですけど、こっそりチャリ通しては先生に見つかって自転車を没収されたり。でも、ありがたいことに実家に自転車が4台ぐらいあったので、没収されても懲りずにまた違う自転車で通ったり（笑）。

あとは、学校の近くに竹やぶもあって、そこに入って遊んでたら「なにしてたんや！」って先生に怒られて「かぐや姫探してました」って、とぼけたりとか（笑）。

そういう先生とのやりとりが何度もあって、そのたびに答えを変えるのが楽しかった。別の日は「あ、流しそうめんつくろうかと」って竹やぶから、ひとボケかましながら出てきてましたね（笑）。

映画の中で印象的なのは、ヒロインの夕花と心也が2人で海まで出かけるシーンがまさに青春。しかも心也はまっすぐで、正義感が強くて正直者。夕花のことを真摯に思っていて素敵なんですよね。

放課後に2人で図書室に行くシーンもときめきましたし。あんな秘密の部屋みたいな場所があって「ハリー・ポッターか！」言うて、高校生の僕だったらドキドキワクワクですよ！

今、俳優の僕がログインしてきました！（笑）

こうやって話してたらお気づきかもしれませんが、実際の僕はあまり心也っぽくないんです。映画の中でお芝居してるのも僕じゃないんですよ。

映画の撮影に行く担当の僕がいて、今日、その人は家で寝てますが（笑）。

そういう俳優の長尾もいるし、なにわ男子で衣装を担当する巨匠キャラの長尾もいるし。僕、お仕事にあわせて別人格が生産されてるんです（笑）。

こういう僕のちょっとおふざけなマインドは、たぶんおじいちゃん譲り。ぶっ飛んだ人なんですよ。

エピソードは山ほどあるんですけど、例えば家の中をアリが列を作って歩いてて「おじいちゃんアリいるよ！」って言ったら「飼っとるんや」って返してきたり（笑）。

そんなおじいちゃんが作る無農薬の野菜がおいしくて。冬はキャベツに白菜、夏はキュウリ、トマト、ナス。それを食べるのが楽しみだったし、おじいちゃんの家でいちご狩りもやってました。

映画に出てくるバター醤油焼うどんのように、グッとくる思い出の味ですね。

この映画は、いろんな形の愛が見える作品なのかなと思います。心也が夕花に対して思う感情もひとつの愛だと思いますし、家族間の愛も描かれていたり。

あと、成長した心也が夕花を想い続けている愛は、たぶん高校生のころに抱いていた愛とは形が変わっているのかなと思うし。それと同時に複雑な環境であったりとか、子ども食堂がテーマのひとつになっていたりだとか。

言葉では知っていてもしっかりと触れたことのないものについて、より理解を深められる映画なんじゃないかと思います......今、俳優の僕がログインしてました（笑）。

でももうログアウトしちゃいましたね。次の仕事があるみたいで！ただの長尾は暇なんですけどね〜（笑）。

なんて脱線しちゃいましたけど、映画を通して気づいていただけることがたくさんあると思うので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。

More!映画『おいしくて泣くとき』で主演！

4月4日（金）全国公開

孤独だった心也（長尾謙杜）と夕花（當真あみ）の密やかな初恋、交わした約束、生涯忘れられない短い夏の夜。そして突然、訪れた別れ。

それから30年を経て彼女の秘密が明かされたとき、舞い降りるやさしい奇跡に涙が止まらない！

長尾謙杜

ながお・けんと●2002年8月15日生まれ、大阪府出身。2021年11月、なにわ男子としてシングル「初心LOVE（うぶらぶ）」でCDデビュー。

俳優としても活動し、近年の出演作に大河ドラマ『どうする家康』、映画『室町無頼』など。

撮影／北岡稔章（えるマネージメント）スタイリング／深澤勇太 ヘア＆メイク／yuka（JOUER）取材・文／山口昭子