よく聞く「〜で、よろしかったでしょうか? 」は大間違い! アナウンサーの敬語矯正レッスン
Topic01
マニュアル敬語のワナに気をつけて!
まず、気をつけたいのは、コンビニやお店でよく耳にする「マニュアル敬語」には、とんでもない間違いがあること。「〜で、よろしかったでしょうか? 」と聞かれると、その丁寧な口調とは裏腹に、「この人は言葉を知らないのだな」とがっかりしてしまいます。正しくは「ということで、よろしいでしょうか?」。いいか悪いかを「今」聞いているのですから、過去形ではなく現在形を使わなくてはなりません。
きれいに服装を整えた案内の方に「あちらのものにうかがってください」と言われて、その会社の方と話すのがイヤになったこともあります。正しくは「あちらのものにおたずねください」です。「うかがう」は謙譲語ですから、お客様がする行動に使ってはいけません。
また、とてもすてきな女性だと思っていたのに、「ガッツリ」と言われた途端に、その人の仮面がはげ落ちたかのように失望したことも。流行りの言葉をとり入れてもいいのは、お友だちとの間だけ、と覚えておきましょう。もちろん、美しくない響きの言葉は、本当は普段から使わないほうがよいのですけれどね。
こんなことを言うと「うるさいな」と感じられるかもしれません。けれども、年配の方に会ったときに、敬語がきちんと使える人は「ちゃんとした環境で育ったのだな」と信頼を得ることができます。会社の上司やボーイフレンドのご両親に会うとき、あなたはどんな印象を持ってほしいと考えるでしょう? 一生懸命、洋服やメイクを整えてもだらしない言葉づかいをしていれば、あっという間に仮面ははがれてしまいます。
Topic02
美しい言葉を使える女性=美しい印象になる
「形にこだわるのはイヤ」という方もいるかもしれませんね。けれども、美しい言葉を使える女性の印象は、間違いなく美しくなります。それが世界中のルールなのですから、それを武器にして人生を戦ったほうがいいのでは? と私は思います。
「人間の質感」というのは、些細なことからにじみ出るものです。常に自分を磨いていくために、相手に対して発する言葉を「美しいもの」にしていく。それは最初の一歩だと思います。
言葉は「そのときだけうまく使えればよい」というものではありません。大事なときほど、つい日頃の言葉づかいが出てしまうもの。だからこそ、普段からきちんとした言葉を話せるように、意識していくことが大切なのです。 あなた自身の格を上げ、「女度」をアップしていくために。
Topic03
敬語の種類と働きをおさらいしよう
謙譲語①
動作の対象となる人に敬意をあらわす
「うかがう・申し上げる」型
話題に登場する一方の人物を低めることによって、その相手方の人を高め、敬意をあらわす謙譲語。「うかがう」「差し上げる」「申し上げる」など。
謙譲語②
聞き手に敬意をあらわす
「参る・申す」型
話題に登場する人物を低めることにより、聞き手に敬意をあらわす謙譲語。「申す」「参る」「おる」「存じる」など。
Check!01
尊敬語
相手や話題に登場する人物を直接高める
「いらっしゃる・おっしゃる」型
相手や話題に登場する人物について、また、その人側のものや動作、状態などを高めて表現する。「いらっしゃる」「なさる」「おいでになる」など。
丁寧語
表現を丁寧にしたいとき
「です・ます」型
話し手の丁寧な気持ちを直接表現するために用いる。「です」「ます」「ございます」など。
美化語
品のよさをアップさせる
「お酒・お料理」型
表現の上品さ、美しさの水準を上げるために用いる。「お花」「お茶」「お料理」「ご近所」「ご祝儀」など。
▼教えてくれたのは…
元TBSアナウンサー・駐ポーランド大使夫人 松富かおりさん