ちょうどいいブスの心理学講座⑥:山﨑ケイ、不安から安心を与えることの重要性を知る、の巻
今回も引き続き、心理学者・杉山崇先生に「ちょうどいいブス」について心理学的見地から分析していただきました!
ケイ:いままで挙げていただいたもの以外にも、この連載や書籍(『ちょうどいいブスのススメ』)の中で心理学的な効果のあるテクニックってありましたか?
杉山:はい、まだありましたよ! ケイさん本当に無意識に使っていたんだとしたらすごいと思います。
ケイ:先生とお話ししていたら、ひょっとしてすごいんじゃないかと思い始めてきました(笑)。ちなみにどんな心理学的効果でしょうか?
杉山:「アンカリング効果」ですね。
ケイ:アンカリング効果?
杉山:はい、これは心理学だけでなく、行動経済学でも有名で、広告などでもよく使われる手法です。
ケイさん、こんな広告見たことありませんか?
通常価格5,980円の商品が期間限定特別価格として2,980円で売り出されている、といった表示を。
ケイ:はい、もちろんあります。よく見かけるやつですよね。
杉山:これがどういった効果があるかというと、最初に高い値段が設定されているわけですよね。それを見た時に、その高い価格がまず印象に残ります。
その上で次にその金額よりも安い価格が提示されるわけです。
これにより、「こんなにも高い商品がこんなにも安く買えるなんて!」と、意思決定や判断基準に大きな影響を及ぼすわけなんです。
つまりは最初に「不安」を与え、その次に「安心」を与えるということですね。
これをアンカリング効果と呼んでいます。
ケイ:でも私、アンカリング効果使ってました?
杉山:この応用ともいうべき方法を使っていましたよ。
ケイ:本当ですか?
杉山:はい。ケイさん、「好きな映画はなんですか?」という質問を受けた時に、まず最初にセンスをアピールするような有名ではない尖った作品を答え、その次に「でもなんだかんだ言って『ブリジットジョーンズの日記』が好き」などとメジャー作品を挙げる、という受け答えをするとおっしゃっていましたね。
ケイ:はい、この二段構え作戦は、普通の女性とは一味も違うセンスをアピールしつつ、面倒臭さを緩和できるので、かなり有効な受け答えだと自負しています。
杉山:私もこの受け答えはものすごくいいと思います。というのもこれは単にセンスアピールだけでなく、アンカリング効果も絡んでくるからなんです。
最初に挙げる映画は知名度が低く、しかも尖ったセンスなわけですよね。
それを聞いた時、相手の男性はどんな気持ちになるでしょうか。
ケイ:その映画を知ってる人は「センスある」とか「変わってる子だ」とか思うかもしれません。でも知らない人の場合は「その映画知らないし」と思うでしょうね。
杉山:そうなんです。そして「知らない」ことは自分の無知をさらけ出す恐れもあるので、「ハードル高い」と思わせて緊張感を生みます。この緊張感はある種の「恐怖」でもあるんですよ。
ケイ:なるほど!
杉山:まずは「恐怖」を与えた上で、次に誰しもが知っている映画を言い、「意外とハードル低い」という「安心」を与えるんです。アンカリング効果を応用したテクニックと言えますね。
恋心を誘発するだけでなく、会話も盛り上がるようになり、ケイさんらしい素晴らしい会話テクニックだと思います。
ケイ:先生とお話ししているとたくさん褒めてもらえてうれしいです(笑)。
杉山:そんなケイさんに「アンカリング効果」を利用した「ボディタッチ」テクニックを伝授したいと思います。
ケイ:え、知りたいです。教えてください!
杉山:それは次回にしましょう。
ケイ:おっと、ここにきておあずけですね。これも何かの心理学効果がありそうですね(笑)!
というわけで、次回杉山先生発の「アンカリング効果」を使ったボディタッチ術をお届けします。
杉山崇先生 Profile 心理学者。臨床心理士・一級キャリア・コンサルティング技能士。神奈川大学人間科学部教授。心理相談センター所長。うつ病、恋愛、人間関係、子育て、教育、キャリア開発、労働問題、犯罪心理、心理経済、サッカー…と守備範囲が広く、解説記事には定評がある。公的な委員も務め、心理学だけでなく社会学、人類学、マーケティング、児童学、家族学、犯罪学、進化学、認知神経科学などにも造詣が深い。
ホームページはhttp://www.sugys-lab.com/
テレビや雑誌などのメディアでも活躍中。著作は専門書からエンターテインメント性の高いものまで多岐に渡る。
山﨑ケイさん
profile NSC東京校13期生、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。相方の山添寛さんとコンビ「相席スタート」を結成し、男女のちょっぴりエロい日常をネタにしたコントや漫才で人気を博す。ツイッター @kbbyky