「お芝居の怖さを知った」岡崎紗絵が女優になって感じたこととは?
「これまで」と「これから」を語ったロングインタビュー
モデルと女優。2つの軸を行き来しながら、デビュー10年という節目を迎えた。「年数を意識してなかった」と正直な心境がこぼれたのは、走り続けている限り、現在地も通過点だから。
順風満帆に見える彼女のサクセスストーリーをロングインタビューでひもときます。
Topicひとりぼっちの上京生活
お芝居の怖さを知ったのは、最初ではなく2つめの作品
東京で活動するために現在の事務所に移籍したのをきっかけに、モデル業だけではなく芝居にも挑戦する、2つの軸で活動するスタイルへシフトしていった。
「初めてお芝居に挑戦したのが、映画『脳漿炸裂ガール』でした。台本をいただいたとき、怖くてしばらく開けずにいたんです。
お芝居のレッスンを受けたこともなければ、映像作品がどう撮影されているかもわからない。初めての顔合わせのときは、緊張しすぎて会場のドアノブに触りたくないほど。
このドアを開けてしまえば、知らない世界があるんだろうなって。幸運だったのは、共演者に同世代が多かったことと、監督さんがやさしくて親身になってくださったこと。『お芝居、初めてなんだよね』って。
最初はあんなに緊張していたのに、いざ本番を迎えると、わからなすぎてなにも怖くなくなっている自分がいました。今、当時のことを思い返すと、よくあんなことやれたなと自分でも引くほど、自由奔放にお芝居をしていました。
大人の方がたくさんいるから、ちょっと驚かしてみたくて大声でセリフを言ってみようとか(笑)。なにも知らないから、なんでもやれてしまって。
振り返れば、私がリラックスしてお芝居ができるように雰囲気をつくっていただけたりしたと思うんですが、すごく楽しくお芝居ができたんです。
作品自体も学園モノということもあって、高校卒業したばかりの私に近い環境でしたし、仲間たちと力を合わせて頑張るというストーリーも愛着がありました。
なにもできなくて打ちのめされるみたいなこともなく、『あ、お芝居って楽しいかも』と、モデルとはまた違った面白さに触れることができました。
もし、いきなりベテランの役者さんたちの中に放り込まれていたら、お芝居が楽しいと思う余裕なんてなかったと思います。
ところが、初めての映画が無事終わり、次の作品はドラマだったんですが、そこで初めて洗礼を受けることになりました。
まず、ドラマの現場は想像をはるかに超えて大規模で、100人くらいのスタッフさんが動いていて、共演者のみなさんもテレビでしか見たことのない役者さんばかり。
自分がどこにいたらいいのかもわからず、座る場所ひとつにしても『ここに座っても大丈夫ですか?』とそのつど先輩に聞いてました。
リハーサルでは、緊張で体が硬直しちゃって、USBメモリを手渡すだけのシーンも操られたロボットみたいな動きになっちゃうし、数少ないセリフなのに頭が真っ白になって飛んじゃうんです。
口は動いているのに言葉が出てこなくて、腹話術状態になったこともありました。あるときは、お芝居を終えたら、そのままカメラに映らないように画角から抜けてくださいという動きの指示をもらったのに、なぜか人の後ろに隠れて、消えたことにしようとしたことも(笑)。
どうしたらいいかわからなくなると、人って突拍子もないことをしちゃうんだと学びました」。
撮影/女鹿成二 スタイリング/杉本奈穂(KIND) ヘア&メイク/菅長ふみ(Lila)モデル/岡崎紗絵(本誌専属) 取材・文/長嶺葉月