現場の空き時間は喋りっぱなし！
まずは酒の失敗談から入りますね（笑）

ーー休みの日はどう過ごすのが幸せですか？
朝ゲームして、昼間ジムに行って、午後からまたゲームをするのがいちばん幸せ。　
ーー朝は何時くらいからゲームするんですか？
最近は6時くらいから。本当にハマっていた時期は20時間くらいしていたんじゃないかって記憶があります。今は昼にジムに行って運動を挟むことによってゲームの精度が上がることに気がつきました！！

ーー休みなのに家でダラダラしないんですね。
それをよく言ってる人いますけど、僕は昼過ぎまで寝られないんです。朝5時まで飲んでも10時過ぎには目が覚めて、「キッツイ。一生酒飲まない」と思いながらもそのまま起きてます。先輩とジムに行く約束をしているから起きてジムに行きます。二日酔いで何もできなかったととしても、約束したら必ず行くということが僕にとっては重要なんです。

ーーではオフの日から仕事が始まるときの切り替えスイッチは何ですか？
年始の話になりますけど、実家に帰るといつの間にか太ってて（笑）。だからお正月によくやるんですが、「これから仕事しなきゃ！」って気持ちにするために、仕事初め3日前くらいからジムに行きます。しっかり運動すれば体はすごく変わりやすくて、なんならシュッとしてくるんですよ。ただ……びっくりするくらい顔だけはシュッとしない。むくみなんですかねぇ。イケメン役じゃないときはもういいかなって思ってます（笑）。

ーー撮影中の空き時間は何をして過ごすことが多いですか？
「ゲーム！」と言いたいところですけど、喋ってます。あまり喋らないほうがいいなっていう空気の時は、本を読んで「僕、真面目な俳優です」ってアピール（笑）。同年代が揃った現場では、初対面の気まずさがお芝居に影響するのはもったいないなと思うんです。僕は役者として５年目なのでキャリア的には全然下ですけど、現場には僕より若い子や僕よりキャリアが短い子がいる場合もあるので、みんながやりやすい環境にしたいと思って、喋ります。最初は僕の酒の失敗談から始めるんで、共演した人は誰に聞いても「あいつダメなヤツだよ」って言うと思います（笑）。

撮影してみて、動物園は子供だけの
場所じゃないって思いました

ーーでは主演映画『いのちスケッチ』についてお聞きしますね。
ついに本題ですね！　長い前振りででしたね、すみません（笑）。
ーー撮影場所の動物園には行ったことはありましたか？
撮影前に練習で行ったのが初めてです。僕が動物を扱うための練習でもありましたが、動物たちにとっては自分の家みたいな場所。そこに僕らが撮影に行くことによって環境が変わることを動物たちに知ってもらい、慣れてもらう意味でもありました。

ーー動物と一緒の撮影はいかがでしたか？
キャスト全員言ってましたけど、動物にはやっぱり叶わないなと。特にネコ科の大きい動物は間近で見ると、牙をむくし「人間って弱者なんだな、秒で殺られるわ」と思いました。撮影して改めて動物園って良い場所だと思いました。それがお会いした飼育員さんの目を見るとわかるんです。本当にきれいな目をされているし、動物を生物学の調査の対象としても見ているから、プロの目をしていて。自分が持っていた動物園の認識を改めさせられましたし、子供のためだけの場所じゃないってすごく感じました。

小2で挫折を経験。
それからは中途半端なことはしていません！

ーー役柄とご自身が重なる部分はありましたか？
いちばん大きいのは福岡県出身というところです。もし自分が役者を志して上京したものの、夢破れて実家に帰ることになったら、地元に対する後ろめたさを感じるのかなと思いました。演じた良太の実家は、地元の人たちに親しまれている焼き鳥屋ですが、僕の家も地元の人と交流が深い仕事をしているので。似てるなと思いました。

ーー良太みたいに挫折した経験はありますか？
あります。でもすぐ忘れるんですよね。
ーーじゃあ乗り越えるまでもないですか？
でもトラウマになりがち。挫折で思い出すのは、小学２年生のとき、僕は体がデカくてガキ大将みたいだったんです。生意気な僕に手を焼いた親は、小さい頃に習っていた空手をもう1回やらせて、ボコボコにされればいいと思ったらしく、教室に入れたんです。そして小２で初めて試合に出て、最初は同い年で何年も空手をしてる子に勝ったから「やった、自分つえーじゃん！」と思ったんですが……。次に当時僕より30センチくらい小さくて見た目は保育園児みたいなのにボコボコにされたんですよ。

ーーショックでしたか？
本当マンガみたいに少しも手が出なくて、すごく惨めでした。先生は乗り越えさせるために、毎回僕より強いヤツと戦わせるから「鬼か!?」と思って逃げました。その後父にイジられたのが本当に嫌で！　以降習い事を始めたら途中でやめることがなくなって野球は９年続けました。その経験のせいか、決断を迫られたら毎回「何でもやります」って言っちゃう。うしろめたい気持ちになるのも嫌なので、例えば道で困っている人を見たら、1回通り過ぎても戻ることがめっちゃあります。急いでるから通り過ぎるけど、うしろめたい気持ちを引きずるくらいなら、時間ギリギリで仕事に行ったほうがいいって思うんです。

ーー現場にギリギリで行くことになっても困った人がいたら助けたいですか？
はい。例えば駅のホームに乗り換えがわからない外国人がいたら「大丈夫？」と話し掛けます。でも困っている人って意外と断るんですよ。「お前、大丈夫じゃないだろ!?」って顔をしているのに。そういう人が一度は断ったものの、結局僕に教えてもらったとしても、気まずさを感じさせない相当高いスキルを僕は持ってるんです（笑）。ただ自分スッキリしたくてやっているだけだし、相手にも遣わせない。そういう意味では自己満ですよね。ゴリゴリの偽善者です。だってオレが後悔したくないだけだから（笑）。

地元に帰ったら、
ほとんど家族と過ごします！

ーー佐藤くんの出身地でもある福岡県での撮影はいかがでした？
僕は福岡市出身で撮影は大牟田市だったんですが、大牟田市が映画を支えてくれました。青年団の方は車を出してくださいましたし、毎晩炊き出しでお味噌汁を作っていただきました。大牟田の方々の街に対する愛を感じたし、この映画に期待して、街全体で良い映画にしようと、たくさん動いてくださいました。みなさん助けられたし、もし大牟田の方々の協力がなかったらできなかったと思います。

ーーちなみに地元に帰ったら真っ先にすることは？
家でゲームです（笑）。弟が2人いて、毎回帰ると3人で同じゲームをやるんです。ただ年々弟のほうが強くなってきて、「ちょっと待ってお前！」って感じになってるんですけどね。20歳になってお酒が飲めるようになってから、友達と会ったり、いろんなところに顔を出していたこともありますけど、今は外に全然出ないです。ほとんど家族といます。誰かに会いたいから帰るんじゃなくて、地元が好きですから。

Profile
佐藤寛太（さとう・かんた）
1996年6月16日生まれ、福岡県出身。2015年から劇団EXILEに加入し、俳優としての活動をスタート。ドラマ『イタズラなKiss』シリーズの入江直樹役で初主演を務める。その後、『HiGH&LOW』シリーズでは山王連合会・テッツ役で全シリーズに出演。スピンオフムービー『DTC -湯けむり純情篇-from HiGH&LOW』ではコミカルなキャラクターを好演する。コメディー、ラブストーリー、ヒューマンドラマと、幅広いジャンルで活躍中の若手俳優。11月15日に初主演映画『いのちスケッチ』に公開を控える。また初の劇団EXILE全メンバー出演＆初プロデュース舞台『勇者のために鐘は鳴る』が2020年に上演（2020年1月24日～2月2日赤坂ACTシアター、2月13日～16日梅田芸術劇場）。

information
映画『いのちスケッチ』11月8日福岡先行公開、11月15日全国公開

ⓒ2019「いのちスケッチ」製作委員会

⽥中亮太（佐藤寛太）は、漫画家を夢⾒て上京したものの挫折して帰省する。ある⽇、友⼈の勧めで動物園のアルバイトを始めるとそこは、⾼齢の動物が多く、福祉施設のような動物園だった。更にそこにいたのは威厳のない園⻑、動物しか愛せない美⼈獣医など、個性的な⾯々。そんな時、動物園で亮太を応援し続けていた祖⺟が認知症で保護される。⼈や動物の“いのち”に向き合うことで、亮太の⼈⽣が少しずつ転がり始める――。

撮影／遠藤優貴（MOUSTACHE）、スタイリスト／平松正啓（Y'sC）　ヘア＆メイク／KOHEY　取材・文／佐久間裕子

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