【松任谷由実】40枚目のオリジナルアルバムはAIとの共生が実現!新しいのになつかしい♡

最新作となる40枚目のオリジナルアルバム『Wormhole(ワームホール)/ Yumi AraI』は、あえて旧姓の“Yumi Arai”名義を使っています。それにはAIと深く関係しているんですが、その理由は?このアルバムにかけた思いとは?プレミアム試写会&トークライブで語ってくれました。すでに名盤と呼びたくなる秘密が明らかになります。
“強く、生きよ!”が届けたいメッセージ
アルバム名の『Wormhole(ワームホール)像から始まりまったとか。多次元の世界があるとするなら、そこに存在する荒井由実はどんな音楽を作っていたのか興味あるところ。
“強く、生きよ!”は、53年にわたる音楽活動を続けてたどりついた、このアルバムに流れるテーマだそう。
コンセプトを表現するために最新技術が使われた
荒井由実時代から現在に至るまでのボーカルトラックを当時のマルチテープから抽出し、音声合成ソフト「Synthesizer V」にラーニングさせ、荒井由実から松任谷由実の声を再構築・合成したという。
つまり第3の松任谷由実の声を作ったという、画期的で今までにない挑戦である。AIの力を活用してはいるけど、ゼロからイチを作るのは人間。AIとの共生で、どんなアルバムになったのか、楽しみでしかない。
なにを語ったの?トークショーでのQ&A

アルバムが完成した今の率直な気持ちは?
もっかリハーサルの真っ最中で、このアルバムを肉体に落とし込むのに先日までどうしたらいいんだろうという状態だったんですけど、数日前にストーンと体に入りましてAIと共生できたという手応えがありました。
ワームホールというタイトルは?
考えたのは松任谷正隆ですが、最初はちょっと難しいんじゃないかと思ったんです。
でも、共通している温度感は、こういう世の中ですし、ただ能天気にアルバムを作るのではなく、テーマを設定して、ちゃんとみんなに届くようなものを、ということで合っていたんです。
さらに何かないかなと迷っているうちに、「Wormhole/Yumi AraI」というSynthesizer Vを使用しての制作を象徴するワードを見つけてきたんです。
「おい、お前の旧姓知っているか?荒井はAとIに囲まれてるんだぞ」って。
時空をテーマにした作品は以前にも出されていますが、いつ頃から興味を?
もう子供の頃から普通に持っていましたね。
アルバム制作を進めるなかで言語化したりビジュアル化したりしながらやってきて、『REINCARNATION(リインカネーション)』(1983年)は典型だと思いますが、誰も知らない言葉って難しいんじゃないかと思ったけれど、出したら通ってしまったので、今回も通るんじゃないかなと思っています。
ワームホールも気軽に使っていただきたいと思います。
曲作りに関して、デビューされたときは自分で歌う前提ではなかったというのは有名な話ですけども、今回も原点回帰されたと聞いていますが?
今回は誰が歌うということを取っ払って、特に作曲家としてまず自由に作りました。
そういう初期衝動が戻ってきたのを感じて、長いキャリアを経て、再びこのような気持ちになったことは、自分でもすごいことだなって思っています。
曲作りに関して如実に変化があったのは?
キーレンジから自由になったこと。あとパッセージっていうか、メロディーの流れも自由になったと思います。
由実さんの楽曲は発明に近いような店長も印象的ですが、そういったものも自由度が戻ってきましたか?
そうですね。特に『烏揚羽』という曲は、作りながら入り込んじゃって、これは発明だぞと思って興奮しました。
ご自身のフィジカルを鍛える必要があったんですか?
まずはボイストレーニングで内声の震えというのを消すようにしました。考えてみたら、荒井由実のときにノンビブラートに直したんですけれど、それと全く同じではないですが、Synthesizer Vと混ざるよう矯正するために地味なトレーニングを続けました。
chatGPTにトライしたとか?
すでに松任谷由実をラーニングさせたchatGPTで作詞を挑戦したんですが、自分では全く興味のない内容になってしまって……。
というのは、一度手を染めていることなので新鮮味がないんですよ。
創作とは自分にとっての衝撃、次のフレーズを持ってくるので、そういう置きに行くようなことっていうのは、やっても意味がないなと思いました。
だから、人の心を動かすのは人でしかできないという確信を得ました。
これは私の見解なんだけれど、日本語って特に行間とか間とか、それが特に音律と一緒になったときにたくさんの情報があるんですね。それをAIはまだ学習できないと思います。
逆にだから、AIと生身の人間の境界線が時間できました。
自分がなくなってしまったらAIに飲み込まれてしまうので、自分がしっかり強くあることがAIと共生できることだと思います。
結果的にchatGPTを使って制作した歌詞は不採用になりました。
自分ご自身の性格を自分でどのように思っていますか?
すごいきちんとしているところと、同じだけいい加減なところが両極にあります。
ずっと自分の中に厨二病を飼っているんですよ。
私がスーパー中学生だとしたら、松任谷正隆はスーパー小学生(笑)。そのスーパー中学生時代に色々な性格が自分の中でアンビバレンスなものが培われたかなと思います。
このアルバム一言で表すとどんなアルバムでしょうか?
キャリアを重ねてきたからこそ、テクノロジーを得て、今までのエッセンスを全て注ぎ込むことができた私の最高傑作です。
松任谷由実 40 th Original Album『Wormhole / Yumi AraI』
2025年11月18日(火)発売。全12曲収録。また、全72公演に及ぶ全国ホールツアー『FORUM8 presents 松任谷由実 THE WORMHOLE TOUR 2025-26』も決定。こちらも楽しみです。


