4人での再出発を誓った【FTISLAND】。記念すべき平成最後の武道館公演!
この日、外はあいにくの雨だったが会場内には開演前から熱気が立ち込めていた。メンバーがステージに姿を現し、SEに合わせてミンファンがドラムを叩き始めればついにライブのスタート!
まずはメジャーデビュー・シングル「Flower Rock」から幕を開けた。まさにFTISLANDの代名詞とも言える楽曲だが、ツアーのセットリストに組み込まれるのは久しぶりのこと。曲の途中でファンが着席し一斉にジャンプするお決まりの儀式も健在で、1曲目からファンのボルテージはMAXに!続いて「BEAT IT」のイントロが流れるとファンは手を叩いて雰囲気を盛り上げ、ギターのスンヒョンはドラムの近くでミンファンと呼応するように演奏する一幕も。
「このまま懐かしい曲いくぞ!」と言って始まったのは「Boom Boom Boom」。2011年に初めて武道館公演をした時も歌われた曲であり、当時の記憶が甦ったファンもいるのではないだろうか。今回のツアーではギターアレンジが加えられ、懐かしさと新しさの両方を感じられるサウンドになった。
最初のMCではホンギが「What’s up 東京!」とハイテンションに呼びかける。「今回のライブでは10年を全部見せようと思ってる」と話し「スタートから懐かしい曲やってるけど、みんな覚えてますよね?」と問いかけると、ファンは「もちろん!」と言わんばかりの大きな歓声を送る。
「SATISFACTION」では「幸せの意味を探していた どこかにあると思った」という歌詞の「どこか」を「武道館」に変えてファンが合唱。ツアーで訪れた各会場で行われたご当地イベントだ。続く「ハルカ」や「シアワセオリー」など、ドラマやアニメの主題歌としてファン以外にもFTISLANDの名を広く轟かせるきっかけとなった曲が続く。
歌い出しからファンの声が共鳴するように響くのは「AQUA」。ホンギがコーラス部分で客席を煽り、それに合わせてハイトーンボイスで歌い上げるシーンはまるでお互いの魂をぶつけ合っているようで、いつ見ても圧巻の光景だ。
「Take Me Now」と「Pray」は韓国語で歌唱。日本での精力的なバンド活動を通して確立したバンドの色を韓国の活動曲でも惜しみなく発揮した、まさに”FTISLANDのプライド”とも言える2曲。
途中、MC中に聞こえる「かっこいいぞー!」「ファイティン!」と言う男性ファンの声援に嬉しそうなホンギ。日本デビュー当初は、メンバーのルックスの良さにK-POPブームも相まって「アイドル視」されることも多かった。ファンも女性が多かったが、この日の客席を見渡せば男性の姿も目立っていた。約10年の活動を通して”バンド”として受け入れられた証拠なのかもしれない。
次のアコースティックパートは四季の移ろいに合わせて構成を考えたそうだが、ツアーが始まり明らかになった「日本と韓国の季節の違い」について説明。梅雨が夏の前にある日本に対して韓国では夏の終わりとのことで、春の「soyogi」、夏の「Brand-new days」、梅雨の「Raining」の順で披露。その後、バンドモードに戻って秋の「いつか」、冬の「Distance」で締めくくった。
「入隊終わって戻ってきたら色んなテーマを決めてツアーやった方が良いんじゃない?バラード、ロック、演歌?」というホンギの提案を受けてジェジンが「Distance」を演歌風で歌うと、その完成度の高さに客席は大爆笑。このツアーを通して主張している「俺らのライブはアンコールないです。1部と2部!」という話になると、ファンも「わかってるよ!」というご様子。まるで長年の友達同士のような関係にも感じる。
「Hold the moon」に続いて「最近、俺が一番好きな曲。俺たちは素敵な人なんだからね!」と前置きして始まったのは「Golden」。ホンギが作詞に参加した曲で、思い悩み苦しんでいる時に「1人じゃない」と語りかけてくれる珠玉の応援歌だ。FTISLANDは聞く人を奮い立たせてくれるような楽曲が多いが、更にそのほとんどの作詞にメンバーが参加していることを思うと改めて驚かされる。
「この会場が揺れるくらいジャンプしな!」と叫ぶと、ライブの定番曲「FREEDOM」「PUPPY」「未体験Future」を立て続けに熱唱。「最後は新曲いこう!」と兵役前最後のアルバム『EVERLASTING』より「God Bless You」を披露し、興奮冷めやらぬまま1部が終了した。
2部は「Paradise」からスタート。MCでは、緊張のツアー初日となった豊洲公演に触れ「どんな話をすれば良いのか、ライブをやっても良いのかっていう考えで上手くできなかったんじゃないかと思うし、記憶がないんですけど」と率直に明かす。「今回のツアーまで、あいつと一緒にやるっていう気持ちでやってる」と脱退したメンバーについて言及しながらも、「この4人でもっと固くなってるから僕らのことは心配しなくて大丈夫です 僕ら4人がFTISLANDを守りながら続けていきます。」とファンに約束した。
武道館公演は今回で11回目。ホンギは「正直、今回こんな大きなステージで何か(派手な演出が)あると思ったけど…」と言って笑いを誘ったが、そんなことは全く気にならないほどに彼らの演奏が熱かったことに気づかされる。
「ワガママっていうイメージがある俺らだけど、いつも応援してくれるみんなには感謝してるし、それをどうすれば伝えられるかって思うと歌しかない。ライブしかないです。だからその気持ちと10年間お疲れ様でしたっていう意味を込めて、この曲を歌います。」と話してから始まったのは「アリガト」。2014年のツアーラストで会場中が涙した、FTISLANDにとってもファンにとっても思い出深い曲だ。この日は最後に「Stay what you are」まで追加したスペシャルなセットリストとなった。
直前に4人体制となった本ツアー。初日の公演はメンバーも「何をどう話したら良いか」という様子で、堪えきれず涙を流すファンも多かったが、武道館公演の雰囲気は全く違うものだった。公演を重ねるうちにメンバーは「FTISLANDを守る覚悟」をより強固にし、その想いを受け取ったファンもまた彼らと共に歩んでいく気持ちを強くしたに違いない。
8年前、初めての武道館公演でジェジンが語った「武道館のロックの神様に笑ってもらえるかどうか」という言葉。笑ってもらえたからこそ、11回目の武道館公演を、平成最後という意味のある日に成し遂げることができたのではないだろうか。ホンギの「完全なバイバイではないです。みんなが飽きちゃうくらいライブするから!いいな!?」という言葉もあったので、兵役前にまだ彼らのステージを見るチャンスがあることを期待して待ちたい。
撮影/ヤマダマサヒロ