次世代グループ【NCT127】って?日本人メンバーの魅力も!
グループ最大規模となる公演会場を、約17,000人のファンが埋め尽くす。この日の公演はAbemaTVで生配信されており、会場に来ることができなかった大勢のファンも見守っていた。照明が暗転するとファンの持つペンライトが一斉に輝き出し、会場の熱気が急激に上がっていく。メンバーがステージ上部から姿を現したかと思うと、会場には割れんばかりの歓声が響き渡った。
オープニングの「Cherry Bomb」はRemixバージョンで、各メンバーがソロダンスを披露。まさに、幕開けにふさわしいステージ。次いで「Come Back」「Limitless」「Chain」と日本デビューアルバムの曲が続く。こちらも映像とコラボレーションした演出などを駆使して新たな魅力を見せつけ、同時に確かな成長も感じさせた。
冒頭からNCT 127を象徴するパワフルな4曲を駆け抜けると、センターステージで最初のあいさつ。リーダーのテヨンが「盛り上がってますかー!?みなさんの熱気が本当にすごいです。最高です!」とテンションMAXで呼びかける。「ホール公演は距離が近くて良かったですが、広い会場では送ってもらうパワーが大きくなって良いですね!」とさいたまスーパーアリーナの広さについて触れるジェヒョン。末っ子のヘチャンは怪我の療養から復帰し、埼玉公演が本ツアーで初めてのステージ。「ただいまー!」と元気に叫ぶと、メンバーとファンが声をそろえて「おかえりー!」と応える一幕も。
「ついに僕たちNCT 127がさいたまスーパーアリーナにたどり着きました!」と、日本人メンバーのユウタが嬉しそうに話す。この会場に立つことの意味を特に噛み締めている様子で「ツアータイトルの通り、新しいスタート地点がここになると思います」と力強く語った。
メンバー全員、流ちょうな日本語でMCを行う。それでも時折、言葉に詰まってしまったりするような場面では、すかさずユウタが優しく日本語をアシスト。グローバルグループの強みを感じさせてくれた。
「Fly Away With Me」「Back 2 U (AM 01:27)」では、迫力あるダンスパフォーマンスとはまた違った感性的な雰囲気を作り上げる。「Angel」では”天使の顔を見た”という歌詞に合わせてファンを指すジェスチャーを入れたり、「Sun & Moon」の歌唱前にはジョンウが「僕たちとファンのみなさんを表現した曲」と語ったり、歌を通してファンに愛を伝えるステージが続く。
「Timeless」でテイル、ドヨン、ジェヒョンのボーカル3人が心も震える美しいハーモニーを響かせた。続く「No Longer」では更にジョンウとヘチャンが加わり、それぞれ異なった声質の5人による珠玉のバラードステージを作り上げた。
感動的な雰囲気そのままにジャニーがピアノを披露し始めると、曲調は徐々に様相を変え、会場はダークな空気に包まれ始めた。ジャニーが真っ赤なジャケットを羽織ったのを合図にして、他のメンバーも花道を順に歩いてセンターステージに集まってくる。「ジャケットを着ながら歩くだけで、こんなにも画になるものか」というファンの溜め息が聞こえてきそうな雰囲気の中、最後にテヨンがスクリーンに大きく抜かれ大歓声と共に始まったのは「Regular」。回転するステージに合わせ、フロントを変えながら圧巻のパフォーマンスを見せつけた。続く「Wake Up」ではステージが上昇したかと思えば、なんと傾き始める。ただでさえ激しいダンスを急斜面でこなすという予想を越えた演出に、ファンの目は釘付けだった。
その次のパートでは、メインステージにジャングルジムのような巨大な装置が登場。曲に合わせてメンバーがジャングルジムの中を巧みに動き回る。装置の所々に設置されたカメラが思わぬ角度でテヨンやドヨンの姿をキャッチするなど、見逃せないシーンが続く。
NCT 127のメンバーが練習生時代から歌いつないできた「Mad City」では、冒頭部分を歌ったジェヒョンが空を蹴り上げるのを合図にテヨンとマークの激しいラップがぶつかり合う。本格的なラップを聞かせることができるのも、NCT 127の大きな強みだ。
「90年代に迷い込んだ」というコンセプトの映像を挟み、メンバーはカラフルな衣装で登場。「Good Thing」や「Touch.Japanese Ver.」など、一緒に盛り上がれる曲で更に会場を熱くさせる。「Replay(PM01:27)」ではメンバー自身がペンライトを大きく振りながら、ステージを縦横無尽に駆け回っていた。
続くMCではツアーの思い出を振り返る。日本各地をめぐりながら食事や観光を満喫できたようで、楽しそうに会話を繰り広げていた。本ツアーを通してお決まりとなったジャニーの「(もう少し)みなさんと一緒にいちゃダメですか?」のコーナーは、最終日にはユウタが「以上、ジャニーの『いちゃダメですか?』でした(笑)」とオチをつける一連の流れにまで進化しており、会場は大爆笑。
ラスト2曲は韓国での最新曲「Simon Says」とデビュー曲「Fire Truck」。NCT 127の進化した部分と根底の変わらない部分、その両方を惜しみなく感じられるパフォーマンスで本編を締めくくった。
アンコール1曲目は4月17日にリリースされた日本でのファーストフルアルバム『Awaken』に収録の「Wakey-Wakey」をMVと同じ衣装で披露。テヨンは大胆に腹筋を見せる衣装でカリスマ性あふれるパフォーマンスをするも、その後のMCでは恥ずかしそうに隠す姿もまた魅力的なギャップだ。
「Welcome To My Playground」「Summer 127」と軽快なテンポの曲では、トロッコで会場を周りながらファンとの距離を縮めコミュニケーションを楽しんでいた。最後のMCパートではファンによるサプライズイベントを敢行。“We’ll always Wait for you in NEO CITY : JAPAN”のメッセージを掲げながら「Touch Japanese Ver.」の合唱というプレゼントに、メンバーも驚きと感動の表情で会場を見渡す。ドヨンは目に涙を浮かべ、テヨンも感慨深げに「本当に美しいです。心からありがとうという言葉しか伝えられないけど、ありがとうございます」と話した。
最後のあいさつでは「元々、僕の夢だったこのステージに立つことが良い思い出に変わろうとしてるんですけど、これからもみなさんと僕やチームの夢を素敵な思い出に変えていけるように頑張っていきたい!」とユウタ。テヨンは「頭の中が整理できてないんですけど」と前置きしつつ、「みなさん、今日幸せでしたか?僕たちがこんなにたくさんの人を幸せにできるということは、この仕事を選んで良かったなと思えます。とても光栄で誇らしいです。」と言葉を紡いだ。ドヨンは全て日本語で感謝を伝え、最後に「特にユウタお兄さん、ありがとうございます!」と日本ツアーでは人一倍メンバーを気遣う部分も多かったであろうユウタの役割を労った。
ラストステージは「0 mile」。”君と僕は0マイル”という歌詞の通り、最後までステージの端から端まで走り回って、ファンと目を合わせながら全身全霊で楽しんでいた。
このツアーを通してNCT 127は、国籍もバックボーンも持ち合わせたスキルも様々なメンバーがそろった「グローバルアーティスト」であることを堂々と示してくれた。日本活動においてはローカライズにこだわるグループも多い中、韓国語で歌ったかと思えば日本語であいさつし、パワフルなダンスステージを披露したかと思えば激しいラップナンバーも聞かせてくれるNCT 127。韓国だから、日本だからとこだわることなく、彼らだけが表現しうる世界観とパフォーマンスを武器に世界中で活躍していく可能性を感じさせてくれる公演だった。