デビューから10年のサクセスストーリー♡ 【岡崎紗絵】が女優になるまで
「これまで」と「これから」を語ったロングインタビュー
モデルと女優。2つの軸を行き来しながら、デビュー10年という節目を迎えた。「年数を意識してなかった」と正直な心境がこぼれたのは、走り続けている限り、現在地も通過点だから。
順風満帆に見える彼女のサクセスストーリーをロングインタビューでひもときます。
Check!1きっかけとチャンス
漠然とした憧れはあっても、現実味はまったくなかった
今でこそ、モデルと女優の両軸を着実に歩んでいるけれど、彼女自身は芸能界に対して強い憧れや夢を抱いていたタイプではなかったという。まずは、そんな紗絵が女優になるまでの“はじまり”の話から
「子どもの頃は、あまりテレビを見る習慣がなくて、ドラマや映画のようなエンタメが身近ではなかったんです。だから役者さんはとても離れた存在。
芸能界を意識したのは中学生くらいから。ファッションやメイクに目覚めて、みんなが“可愛い”を作り始める時期だし、おしゃれなコや可愛いコって目を引くじゃないですか。
ファッション誌で勉強して、『モデルさんって可愛いよね』というところから、モデルへの憧れを抱くようになりました。
他には、たまたま通っていた中学校に、NHKで放送されていた『中学生日記』に出演しているコが何人かいて、テレビ局に通っている話や現場での話を聞いて、ちょっと芸能界を身近に感じてみたり。
あの頃の憧れはあくまで憧れだけで、自分自身がモデルになるなんて発想もゼロだし、なれるとも1ミリも思ってなかった。ただシンプルに『可愛いなぁ』っていうだけのものでした」
事態が変わったのは高校1年生のとき
「家族でゴハンを食べに行った先で、父がお店の女将さんに『紗絵はモデルになりたいんだよ』って言ったんですよ。私は『へ?』とポカーンとしちゃって。
それまでモデルになりたいなんて言ったこともなかったから、なぜ父がそんなことを言ったのかわからなくてビックリ。
その日、たまたま女将さんの息子さんの同級生でカメラマンをやっている方がいるから、ちょっと挨拶しましょうという流れに(笑)。
後日、スタジオで撮影することになったんですが、ポーズなんてとれるわけもなく、ただただ指定されたポーズで撮っていただいて、『この写真、(芸能)事務所に送っておくね!』と。
さらに後日、地元の事務所から連絡がきて、『面接をしましょう』となり、気がつけば物事が進んでいって、ウォーキングや言葉遣いのレッスンを受けて、最終的に所属することが決まりました。
基本的に落ちるっていうこともなかったみたいで、同じタイミングで受けていたコたちも全員通過。
そこが地方らしいというか、のんびりとした芸能界のスタートだったと思います」
Check!2青春を謳歌した高校時代
「本当に運がよかっただけ」その言葉に尽きるって感じです
人生最初の転機だという「ミスセブンティーン2012」のオーディションを受けることになったのは、事務所に入ってまもなくのこと
「事務所に所属していた10代の女のコたちはもれなく応募することになって、『あのセブンティーンですよね!?』と急に現実味が湧いて、緊張もしたけど高揚感もありました。
面接の光景もよく覚えていて、受かった人は会場にそのまま残されて、番号が呼ばれなかったら脱落して帰る。選ばれる人とそうじゃない人がいる、そんなシビアな状況に初めて直面しました。
緊張はしていても、コトの大きさを理解しきれていなくて、『特技はモノマネを披露しようと思ってるんだー』と他のコたちにネタバレしてみたり。
でも実際は、『髪の毛ってどんなケアしてますか?』という質問をされて、『最後に冷風を当ててキューティクルを引き締めてます』と答えて終わりました。
あの日、まわりのコにはめちゃくちゃ話しかけた記憶があって、待ち時間で仲よくなれたら雰囲気もやわらぎそうだなって思っていたんですよね。ライバルというよりは仲間っていう意識が強かったのかも」
まさにトントン拍子とはこのことで、デビューから1年もたたずにミスセブンティーンをつかんだ紗絵。電話で合格を伝えられたときは、「とにかくもう大ジャンプ(笑)」だった
「展開があまりにスピーディーで現実味がなかったし、覚悟だって足りてなかったと思う。でも、やるぞ!っていう思いだけは揺るがなかった。
ありがたかったのは、私が雑誌の専属モデルになったからといって学校生活には特別な変化がなかったこと。
平日に学校を休んで仕事のために東京に行くのは大変ではあったし、なんとか頑張って卒業したけれど、地元に帰ればいつもの日常があって、学校の行事も全部満喫できて、青春への心残りはまったくないんです。
学生時代に普通の学生として過ごせた日々は、今となっては得がたい経験だし、間違いなく自分の強みだとも思っています」
「高校を卒業したら、大学に行って、地元に就職するんだろうな」。将来の自分が芸能界にいるイメージは持っていなかったそうだ
「19才で名古屋から上京したんですが、セブンティーンを卒業後は、地元の大学に行って、地元で就職して、骨を埋めるものだと思っていました。
進路をどうするか考えていた時期、まわりにいる大人たちから『東京に行ったほうがいいよ』とことあるごとに言っていただけた。挑戦してみる価値があるはずだ、と。
私は、自分からこうしたいっていうのが明確にはない性格で、自分から前に出ていくとか、主体となって物事を動かしていくっていうのがなかった。上京もみなさんの声に後押しされて決断したもの。
上京したての頃は、こっちに友だちがいなくてちょっと寂しかった。たまたま地元の友だちが東京で暮らしていたので、そのコと会うくらい。
あの頃、ちょっと自分が閉じていたなって自覚があるんです。芸能界の友だちをつくろうともせず、とにかくひとり行動で、家に帰ったら『プリズン・ブレイク』を見まくるっていう灰のような毎日を送っていました(笑)」
“たまたまもらったチャンス”“拾ってもらえただけ”と何度も口にした。けれど、目の前のチャンスをつかめるかどうか、その選択の瞬間には、まぎれもなく彼女の意思がある。
撮影/女鹿成二 スタイリング/杉本奈穂(KIND) ヘア&メイク/菅長ふみ(Lila)モデル/岡崎紗絵(本誌専属) 取材・文/長嶺葉月