メンズアイドル好き必読。芥川賞作品『推し、燃ゆ』の魅力とは?
今話題の小説『推し、燃ゆ』とは?
「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」
「推し」がいる人なら誰でもドキッとしてしまう、センセーショナルな1文から始まる小説『推し、燃ゆ』。
第164回芥川賞を受賞したこの小説は、メンズアイドルを応援する女子高生・あかりと、ファンを殴ったことにより炎上したメンズアイドル・上野真幸の物語です。
推しがファンを殴った、と聞いたら、あなたはどう感じますか?
理由が知りたい、心配でたまらなくなる、「ありえない」と怒る、どうしたらいいかわからなくなる……。みなさん、それぞれだと思います。
「推し」と「炎上」について書かれた小説、『推し、燃ゆ』。推しがいる人にはぜひチェックしてほしい小説になっています。
今回は、今、手に取りたい小説『推し、燃ゆ』についてご紹介します。
『推し、燃ゆ』とは?
引用元:Amazon
タイトル:『推し、燃ゆ』
著者:宇佐見りん
出版年月日:2020年9月30日
出版社:河出書房新社
『推し、燃ゆ』を書いたのは女子大生!
『推し、燃ゆ』を書いたのは、宇佐見りんさん。
なんと彼女は21歳の現役女子大生!
2019年に『かか』という小説で文藝賞を受賞しデビューしました。『推し、燃ゆ』はデビューから2作目の小説です。
『推し、燃ゆ』では、史上3番目の若さで芥川賞を受賞した宇佐見りんさん。これからの活躍が期待されていて、要チェックの作家さんです。
「推し」について取り扱った小説を書いたのきっかけは、宇佐見りんさん自身にも、推しの俳優がいるからなんだそう。
芥川賞受賞の決め手は?
第164回芥川賞を、史上3番目の若さで受賞した宇佐見りんさん。
『推し、燃ゆ』が芥川賞を受賞したのは、「主人公・あかりのリアルさ」「小説としての表現力」が理由ではないかと思われます。
選評では、『博士の愛した数式』を書いた小川洋子さんや、『ぼくは勉強ができない』を書いた山田詠美さんが『推し、燃ゆ』を絶賛しています。
主人公は、メンズアイドルを応援する女子高生・あかり
『推し、燃ゆ』の主人公は、メンズアイドル・上野真幸を応援している女子高生・あかり。
推しを推すことを、自分の「背骨」と言い切るほど、推しに全てをかけている女の子です。
あかりはいつでも推し一筋。
朝の十二星座の占いは、自分の分は見ないけれど推しの分はチェックしています。
「あたしのスタンスは作品も人もまるごと解釈し続けることだった。推しの見る世界を見たかった」
「未来永劫、あたしの推しは上野真幸だけだった。彼だけがあたしを動かし、あたしに呼び掛け、あたしを許してくれる」
そこまで言ってしまうほど、あかりは推しのことが大好きなのです。
あかりが推しを推している理由
あかりが推しである上野真幸と出会ったのは、4歳の頃。
当時12歳の子役だった上野真幸が、舞台でピーターパンを演じていたのを見たのが、あかりにとって人生最初の記憶です。
けれど、上野真幸が推しになったのは、あかりが女子高生になってから。
ある日、部屋で見つけたピーターパンの舞台のDVDを見返したあかりは、上野真幸を推すことを心に決めます。
推しがいるなら共感しちゃう!? 小説の内容は?
小説は、主人公・あかりの推し、メンズアイドルの上野真幸が、ファンを殴って炎上するところから始まります。
「ファンを殴ったらしい」という衝撃、それ以外なにもわからないまま、推しが炎上していく……。そんな描写は、手に汗握るものがあります。
小説の中には、TwitterやブログなどSNSが出てきて、メンズアイドルファン同士のリアルな交流も描かれています。
推しのためのアルバイトをしたり、スマホのパスワードが推しの誕生日だったり、気づいたら身の回りのものが推しのメンバーカラーに染まっていたり……。メンズアイドルを応援しているなら「あるある」と言ってしまうような描写がたくさん。
メンズ地下アイドルを応援している友達・成美との会話では、メンズ地下アイドルの現場事象や、接触、認知、繋がりなんて内容まで。
もともと、みんなが普通にできることができなくて、生きづらさを抱えているあかり。
そんなあかりの人生が、「推しの炎上」というセンセーショナルな出来事によって、変化していきます。
宇佐見りんさんのほかの作品は?
宇佐見りんさんはデビュー2年目の作家さんで、『推し、燃ゆ』以外にはまだ、デビュー作『かか』しか本が出ていません。
『かか』は、家族や母親との関係に悩む19歳の浪人生・うーちゃんが主人公。
特徴的な文章で書かれていて、小説を読み慣れている人にオススメです。
『かか』には、家族との関係や悩みだけではなく、SNSでの人との繋がりなど、現代的なテーマが書かれています。
実際に読んだ感想
『推し、燃ゆ』は、推しがいる人にはぜひ読んでもらいたい小説です。
実際に読んでみて、「推しを推す」ということについてだけではなく、「生きる」ことについても考えさせられました。
また、オタクの描写はリアルなので、共感できる箇所もたくさんあります。
推しを推すことだけに全てを捧げているあかりを見ると苦しくもなりますが、読んでよかったな、と思える小説でした。
『推し、燃ゆ』がオススメなのはこんな人♡
メンズアイドルを応援する女子高生・あかりの人生を描いた小説『推し、燃ゆ』。
この本がオススメなのは、
- 10代〜20代の女性
- 「推し」がいる人
- 純文学がちょっと気になるという人
です。当てはまる人は、ぜひ読んでみてください!