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美人な元カノのSNSチェックが辞められない。嫉妬を自信に変えたい女子の物語

美人な元カノのSNSチェックが辞められない。嫉妬を自信に変えたい女子の物語
幸せなはずなのに時々気になってしまう元カノの面影。SNSで知らない人とも簡単に繋がることができるようになった今だからこそ、その影がよりちらついて頭から離れなくなってしまう。どうして私たちは過ぎ去ってしまったことに嫉妬してしまい、やめられないのだろう。きっと同じ思いを抱えている子はたくさんいるはず…。

誰にも見せられない姿

彼氏の元カノを思い出しながら食べる飯は不味い。そう思った。

昨日から出しっぱなしにしていてすっかり気の抜けた炭酸ジュースを飲み、30%オフのシールが貼られた焼き鳥のパックを音をたてて開ける。レンジで温めたレトルト白米はお茶碗に移さずに口をつけた。がさつな女だ、と我ながら思う。

そういえばこの間のストーリーズはお菓子作りの報告だったっけ。ちくしょう、私は自炊だってできやしないのに。

ああ、甘いものが食べたい。

チョコと生クリームがたっぷり入った菓子パンを貪る。気休めのために買ったサラダは明日の朝でいいや。

左手で食事を進めながら、右手でスマホを操作する。まずはリア垢で友達の近況をチェック。

インスタグラムには色とりどりの思い出が詰まっていて、誰も彼も幸せそうで、もしかしたら人はユートピアを築き上げることに成功してしまったのかも、と錯覚してしまう。

気づくと2ピース入りのチョコレートケーキが手元から消えていた。

炭酸ジュースで食道に詰まった食べ物たちを流し込む。

虚しい開放感がちょっと幸せな気分にしてくれる。

幸せアピールは、しちゃいけない?

高校の時に好きなアニメの話で意気投合して仲良くしていた絢子は、彼氏と横浜デートに行ったらしい。もともとSNSの更新頻度が多く、よく思われていなかったが、最近はラブラブアピールばかりでまた煙たがられている。

少し前に絢子、万理華、紗英と「2年間クラスが一緒だった仲良しメンバー」の女子会をした。

「もっとのろけてよ〜」

「ほんとに羨ましい!結婚しちゃえ〜」

なんて万理華と紗英が茶化すと、絢子は満更でもない顔をして沖縄旅行の話をはじめた。

夕方から始まるバイトのために絢子が帰ってしまうと、待ってましたとばかりに陰口女子会がスタートする。

「幸せアピールイタすぎ」

「依存しすぎでしょ。すぐ別れそう」

豹変した2人の横で、私は当たり障りのない相槌を打つ。

「沙耶香はケンタくん?とどうなの?」

紗英が話題を振ってきた。この状況で話せるわけないだろ。

「んー、特に変わりはないよ」

私が答えると、2人は猛烈に頷く。

「やっぱり沙耶香のところは安定だよね」

「推しカップルだよ」

「うーん、でもまだ1年経ってないし、学生時代に付き合って結婚する確率は1割くらいだって言うよ」

自信なさげに答えると、「ケンタくんなら大丈夫だって!」と口を揃えた。

「沙耶香って全然インスタアピールしないから、好感度高いんだよね〜」


…ネットの記事に書いてあった通りだ。更新頻度は少なめで、自撮りは上げない。それが好かれる女子の鉄則。たぶん。

止まらない妄想

でも、みんなに言えないことだっていっぱいある。健太が来た時にしか料理をしないこととか、それから。

アカウントを切り替えて、スマホを左手に持ち変える。一昨日1年半年記念日を迎えたカップルの幸せそうな写真が、タイムラインの一番上に表示されている。

健太の元カノとその幼なじみ。少女漫画みたいな組み合わせだ。啜ったカップラーメンの汁が跳ねて、スマホの画面が汚れたが、袖口で拭ってしまった。

健太と付き合い始めて3ヶ月くらい経った時期に、健太のスマホにこの子の写真を見つけた。インスタグラムで健太の友達のアカウントを嗅ぎ回っていたら特定してしまって、今日まで毎日のようにチェックしている。

「俺は沙耶香に一目惚れだったんだよ、元カノはタイプじゃなかったし」

元カノの話を聞いて泣いてしまった私に、健太はそう言った。

だけど、あの子の前でもこんな風に笑ったんだろうし、女の子っぽいところにときめいたんだろうし、「好き」だとか「可愛い」だとか、甘い言葉をたくさん囁いてきたんでしょ。

タイプじゃないって言ったくせに、ちゃんと好きだったじゃん。



たいして知りもしないのに妄想を膨らませて怒り散らすなんて、傍迷惑にもほどがある。

だけど、やめられない。未来は不安定なのに、過去がどうしても変わらないことが気に入らない。

自分を変えるきっかけは、意外とすぐそこにある。

「気にする必要なんてないよ」

「今のケンタは沙耶香のことが好きなんだから大丈夫」

きっとみんなはそう言って励ましてくれる。分かってる分かってる。健太を疑っちゃいけなことも。自分がいけないことも。でもやめられない。

幼稚で行き場のない嫉妬がむくむく顔を出す。あの子はかわいい。あの子が幸せだったことと、今も幸せなことが気に入らない。むくむく。くろくろ。灰色な気持ちになる。

むしゃむしゃ。食べていれば忘れられる。そんな自分を大嫌いになってしまうけど。

卵を6個割って、オムレツを作った。どうだ、豪快飯。全然女の子らしくない。なれない。嫌われちゃうかな。

電源をオフにしたスマホの画面は真っ暗で、バイト終わりにいそいそとメイクを落とした自分の顔がはっきりと映る。あの子の目はぱっちりしていて、鼻筋が綺麗で、口元がキュッとしていて…

ダメ。こんなこと考えたら、余計にみじめな気持ちになってしまう。

頭を左右に振ってがっくりうな垂れると、剝がれかけのペディキュアが目に入った。

健太が泊まりに来る時しか塗り直していない。靴下で隠れるからいいや、と落とすことさえ面倒くさがっていた。

「あーあ」

ため息とともにベッドに倒れ込む。右手に何かが当たった。毎月購入しているファッション雑誌の最新号だ。そういえば今月はまだ開いていない。雑誌を持ち上げてパラパラめくる。

おしゃれな服に垢抜けたメイク。キラキラの笑顔。

明るいデザインと前向きな言葉に励まされるような気がした。

このコーデ、可愛い。コスメ新調もしたい。

とたんにワクワクした気持ちが生まれてくるから不思議だ。

そうだ。なんとなく似合わない気がしてクローゼットに入れたままのワンピース、着てみよう。

むくりと起き上がって姿見の前に立ち、ワンピースを体に当ててみる。うん、いい感じ。

メイクの雰囲気を変えて、新しいヘアアレンジにも挑戦したい。

美容院も予約して、いつもよりちょっと高めのトリートメントを頼んでみることにする。

今日はピンクのネイルをして寝よう。

本当は気づいていた。だからイライラしていた。

ありのままの自分に自信を持てばいい。

つまらない妄想も、そこから嫉妬を生み出すことも、自信が全部消してくれるはず。

可愛くなる努力を惜しまないでいることが、自信につながるんだ。

ああ、女の子たちよ、自信を持って。

自分の機嫌は自分でとらなきゃいけない。

誰がなんと言おうとあなたは世界で一番かわいい。

だから、大丈夫。これからも可愛くいよう。

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