【Ray】冬のミニ恋愛小説 Vol.1♡〜上西星来と妄想デート〜
BEAUTY
一年の終わりが近づく冬は、不思議と恋が動き出す季節なのかもしれない。今回の主役は、Rayモデル・上西星来。友達の関係から抜け出せずにもどかしい思いをしている2人の、切なくもいとおしい恋物語を男子目線でお届けします。
待ち焦がれた恋
「どうせ暇してるんだろ?近くでメシでもどう?」
日曜の午後、隣駅に住んでいるアイツをなにげなく呼び出した。メールの最初のひと言はほんの少しの強がり。〝アイツ〞とは同い年で昔からの友人のひとりで、幼なじみとまではいかないがそれに似た間柄だ。
いつものように、過ぎていく時間
20分後、なじみのカフェに現れたアイツは、いつものようにお気に入りのランチメニューを注文し、屈託なくゲラゲラと笑い、好き勝手に近況を話しだす。
黙っていればそこそこ美人なのに、しゃべりだすとこの調子。でも僕はそれを聞きながらコーヒーを飲むのが好きだ。
眠そうな目をこする無防備な姿が、ずるい。
何も言わなくても伝わる、なんて思ってないけど
「ねぇ聞いてる?あたしのこと完全に友達としか思ってないでしょ。......彼氏ができても知らないから!」
ちょっとすねた顔を見ていたら、急に胸が熱くなった。
そこから、僕たちはしばらく無口になった。
くるくると変わる表情から目が離せなくて
どうしようもなく気まずく、照れくさいこの空気に耐えかねて、何かいわなくてはと口を開きかけた瞬間。
「気づいてくれた?私のこの気持ち」
少しだけ泣きそうな顔でそういったあと、また思いっきりまぶしい笑顔を向けた。彼女の上気したようなほおに、思わず触れたくなり手をのばした。
その色っぽい目つきも、肌も髪も全部、独り占めしたくなる。
彼女の全てが愛おしい
だって、このまま手を出さずにいたら、ふとどこかに消えていってしまうような気がしたから。
冬の冷たい空気を言い訳にして、僕は彼女のぬくもりを求めた。
――その瞬間、5分前までの「友達」にはもう戻れなくなっていた。
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撮影/須藤敬一(モデル) ヘア&メイク/川嵜瞳(PEACE MONKEY) スタイリング/稲葉有理奈(KIND) モデル/上西星来(本誌専属)